三星村遺跡から出土した穴の開いた大型の石鉞。（資料写真、南京＝新華社配信）

　中国江蘇省常州市金壇区にある三星村遺跡でこのほど、新たな発見があった。考古学専門家によると、約６３００年前の新石器時代の骨器や玉器、石器などが大量に出土。特に穴の開いた大型の「石鉞（せきえつ、石のまさかり）」は貴重で、中国先史時代の保存状態の良い石鉞としては過去最大となる。

　三星村遺跡は新石器時代の文化遺跡で、面積は３５万平方メートル。１９９３～９８年の第１次発掘調査で遺物４千点余りが出土し、１９９８年度の「全国十大考古新発見」に選ばれた。昨年４月に第２次発掘調査が始まり、発掘許可を得た遺跡の居住域と墓域を含む８００平方メートルの範囲から再び遺構や貴重な遺物が多数発見された。

　中でも幅約３６センチの穴の開いた大型の石鉞は注目に値するという。発掘調査を率いる中国社会科学院考古研究所の李黙然（り・もくぜん）副研究員によると、石鉞があった墓の面積は周囲の通常の墓より明らかに大きく、男性被葬者の腰の辺りに石鉞１点、石釜１点、三つの穴がある石刀１点が置かれ、頭部の右側にはブタの下顎骨が２０点余りあり、いずれも０～４カ月の家畜のブタのものだった。

三星村遺跡から出土した穴の開いた幅約１０センチの石鉞。（資料写真、南京＝新華社記者／邱氷清）

　李氏は「大型の石鉞は男性被葬者の頭部の辺りに置かれ、使用された痕跡はなかった。６千年以上前に一部の人々が使用していた石鉞が本来の実用的な器物の枠を超え、個人の身分や権力の象徴となっていたことを証明するに足る。礼器としての石鉞の出現は、当時の人間集団に既に階層分化が起きていたことを示す」と語った。

　三星村では以前にも、穴の開いた幅約１０センチの石鉞が出土している。木の柄は既に朽ちており、現存する石鉞と骨製の鉞瑁（えつぼう、柄の頭部飾り）、象牙製の鉞鐓（えつたい、柄の下部に付ける石突）の３部分が国家１級文物に指定されている。

　李氏は、三星村の石鉞の権杖（けんじょう、権力を象徴する杖）から良渚文化の玉鉞の権杖、商周文化の青銅鉞の権杖までの過去を受け継ぎ未来につなぐ発展関係は、中国の権力制度の起源と発展を探求する上で極めて重要な価値を持つとの認識を示している。