秦代の祭祀建築跡「四角坪遺跡」を訪ねて 甘粛省礼県

ソース:新華社作者: 2024-04-25 15:46

四角坪遺跡の発掘現場。(2022年6月10日、小型無人機から、蘭州=新華社記者/陳斌)

 中国甘粛省隴南市礼県は、周代から春秋戦国時代に西部に割拠し、後に統一王朝を築いた秦の文化の発祥の地で「秦人の故郷」と呼ばれる。同県中心市街地の北東2・5キロにある四格子山の山頂には、2023年度の全国十大考古新発見に選ばれた四角坪遺跡がある。現存面積は2万8千平方メートルで、周囲には山に沿って版築(はんちく、土を幾層にも突き固める工法)の壁が築かれ、内側に複数の版築建築の基礎が残る。建築遺構の面積は9千平方メートル近くに上り、これまでに発見された中でも大規模かつ計画的に配置された希少な秦代大型建築跡とされる。

 出土した建築資材の特徴や製作技術、当時の歴史的背景に基づく遺跡の年代は秦の全国統一後で、氏族の祖先を祭る宗廟建築、天を祭る畤祭(しさい)建築に次ぐ秦のもう一つの祭祀(さいし)建築の形式と考えられ、国家意思を体現し、極めて強い儀式性を帯びていたという。四角坪遺跡の発見と研究は、中国古代の国家祭祀建築の系譜を充実させ、初期の国家礼制を研究する上で重要な価値を持つ。

 四角坪遺跡発掘調査の責任者、甘粛省文物考古研究所の侯紅偉(こう・こうい)副研究員は「遺跡は地理的位置が非常に特殊で、秦公陵園の大堡子山遺跡と漢代に祭天儀式が行われた鸞亭山(らんていざん)遺跡の中間に位置する。建築物の形状と特徴を踏まえれば、秦始皇帝が西方巡幸で祖先を祭るために準備した祭祀場所だと推測できる」との見方を示した。

四角坪遺跡の発掘現場。(2022年6月10日、小型無人機から、蘭州=新華社記者/陳斌)

四角坪遺跡の発掘現場。(2022年6月10日、小型無人機から、蘭州=新華社記者/陳斌)

編集:董丽娜

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